カメラ付きケータイのシャッター音を消す方法

『スイッチを増設する』

最初に動作原理を説明しておきましょう。
実はあきれるほど単純。
義務教育レベルの知識で理解できるでしょう。

根本原理はシャッター音や着信音を出す部品であるところのスピーカーへの配線を物理的に切断してしまうこと。
これならケータイあなんであれ、音は出なくなります。
 
しかし、通常の使用時に着信音が出なくなるというのは不便です。
そこでいま「ここぞ!」という場面だけ音がでなくなるよう、切り替えスイッチを増設することにしました。(図1)おかげでカメラの活躍の場が倍増しそうです。




さて、原理が単純なのは分かったとしても、実際にどういう加工を施したらよいのかというのが難しいところ。
なるべく特殊な部品を用いず、かつ復元可能で本体へのダメージも最低限にとどめるよう工夫してみました。
が、おかげで要求される技術力がものすごいものになってしましました。
改造には最低限、ハンダ付けの技術が必要です。
なお、扱う部品のスケールが極小なので、実際にやってみようという方はとりあえず最後まで読んでからもう一度よく考えてみてください。
「それでもやってみたい、俺にはどうしても無音のケータイが必要なんだ!」という方のために実際の改造に必要なテクニックを説明しましょう。
いうまでもありませんが、改造は自己責任で行って下さい。

改造の基本的な流れは、どの機種でも次のようになります。

1.電池パックを外す
2.本体を開く
3.使用する導線を加工する
4.スピーカーとその接触端子を改造する(外部に導線を出す)
5.本体を閉じる
6.スイッチを本体に接着する
7.スイッチと導線をハンダ付けする
8.スイッチ周辺をボンドなどで保護する→出来上がり

難しいのは、4と7にある導線のハンダ付け。
また、改造の基本として工作中は電池パックを外し、静電気に注意しましょう。
基板に電流が流れると破壊のおそれがあります。


『ハンダめっきが必須』

さて、その難しいハンダ付けですが、なにしろ対象物がめちゃくちゃ小さいのでコツが入ります。
失敗すると損失もデカイので、事前に十分な練習をしてから取り組んで下さい。

今回キモとなるテクニックは「ハンダめっき」。
これはハンダ付けするものの両方にあらかじめ溶かしたハンダを塗っておき、そのハンダ同士を溶かして付けるという手法です。(図2)





とは言っても、なにも特殊な技法ではなくむしろ当たり前の技法です。
今回のように小手先よりも対象の方が小さい場合は、ハンダめっきなしでは成功しません。
また、ハンダ付けする部品も熱に弱いものばかりなので、この技法でなければ破壊の可能性もあります。

コツとしては、めっきをする部分だけを一気に必要な分だけ加熱することです。
スイッチやスピーカーなどは長時間加熱すると溶けてしまうので注意して下さい。
まずは改造に使用する導線を作る過程で十分にハンダめっきの練習をすることです。
これがうまくいかないようでは、この改造は成功しません。


『練習あるのみ!』

それでは実際に導線を作ってみましょう。
用意するのはステレオのイヤホンです。
コードの部分を利用するので、音が出なくても構いません。
コードを切断してビニールの被覆を剥くと、金や赤、緑などのカラフルな導線が出てきます。
実はこれは極細のエナメル線を撚ったものです。
もしも剥いた導線が金一色の場合はエナメル線ではないので今回は使用できません。
ステレオイヤホンならたいていの場合はエナメル線なので心配ないでしょう。

まず何色でもよいので、この導線を数センチほど切り取り、撚り合わせてある束から1本だけほぐしとります。この髪の毛より細い1本が今回使用する配線材料です。

とりあえず導線を適当な長さに切り、両端をハンダめっきします。
とはいっても、導線にはエナメル線が塗ってあり、そのままではハンダはおろか電気すら通さないので、まずはこの塗料をはがします。

方法は簡単で、ハンダゴテでひたすら加熱し続ければよいのです。
細いのでコテを固定してそこに押し付けるとよいでしょう。
しばらくすると、熱に負けたエナメルが焼けてくるので、ついでにその部分に思い切りよくハンダを押し付けます。
するとエナメルの焼けた部分に溶けたハンダがくっついて銅線をコーティングします。
何度もいうようですが、このハンダめっきが上手にできないかぎり改造は無理だと思ってください。
上手にできると導線の端がきれいな銀色にコーティングされます。
なかなか難しいのですが、イヤホンのコードには余裕がありまくりなので、完璧にこなせるまでひたすら練習することです。
習得したなら必要な長さの導線の両端をハンダめっきして配線材を完成させます。
こうして出来上がった導線は、極細かつ絶縁がなされているので、物理的にも電気的にも本体の内部と干渉することなく利用が可能となるわけです。


『導線接続のコツ』

さらに、改造ポイントであるスピーカーと基板上にあるその接触端子にもハンダめっきを行います。
導線と同じようなものですが、コツは対象を十分に加熱したら速攻でハンダを当てて溶かすことです。

その次に、本体内部のスピーカーと接触端子とのあいだにこの導線を配線します。
たいていの機種はスピーカーが本体のガワ(プラスチック部分)に貼り付けてあり、本体基板上のバネ端子がスピーカーの接触端子に押し当てられることによって電気的に接続されています。
この間にセロテープなどの絶縁物を貼るかバネ端子そのものをもぎ取ることにより絶縁します(図3)






そして絶縁した両端にスイッチを接続し、任意に切り替えられるように改造するのです。

導線と接触端子の接続ですが、ハンダを盛りすぎてしまうとガワがしまらなくなるので、ハンダを使用せず、ハンダめっきした部分のハンダを利用して付ける様にします。
重ね合わせてハンダゴテで押し付けるだけで付きます。
事前に準備しておいたおかげでこの作業は一瞬で終わります。
スピーカーと接触端子の両方に導線を接続したら、仮組みして動作確認をしましょう。
OKならスイッチを接続して改造は終了です。
なお、スイッチの周辺は保護のためにホットボンドなどを塗っておくとよいでしょう。